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広告マンが高校野球界へ飛び込む!

阪口慶三の教え~PART2~

前回に続き、阪口慶三先生(親父)の教えを綴りたいと思います。

↓(前回記事)

otane.hatenablog.com

最後までどうぞご一読くださいませ。

「男の修行」

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これは親父が好きな詩です。

これは、人生の教訓でもあります。

目標の達成に不可欠なマインドです。

そして必ずや成功体験や称賛を与えてくれる魔法の言葉なのだと信じています。

これは、戦時中に山本五十六さんが書いたものですが、本校では親父の言葉として受け止められています。

野球を通じて「心をもらえる人間になる」という信念に真っすぐな親父の意志を感じる言葉です。

もし、自分が親になった時には、迷わず阪口先生に子供を預けたい、そう思える教育です。(もう一度自分がやるのは嫌ですが・・・笑)

思春期の完成期に訪れる高校野球という3年間。

今後の人生の進み方を必ずや左右することになる3年間。

どのように教育すれば心豊かな人生を送ることができるのか、親父は身をもって教えてくれるのです。

そして、本気で親父と向き合った人間ほど心が育っていくことに違いありません。

また、長い人生につまずいたとき、自然と訪れたくなる原点の場でもあります。

 

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そんな阪口慶三先生の教訓「男の修行」にまつわる数あるエピソードの中からいくつかご紹介したいと思います。

最後まで高校野球をやれ!

夏の甲子園の予選、圧倒的優勝候補とされていた本校野球部ですが、意外な壁に直面します。

審判の壁です。

決して審判を批判するわけではありません。

しかし、客観的に見ても、リプレイを見ても、圧倒的不利なジャッジに苦戦していました。

ストライクと思ったところはボールになり、ボールだと思ったところは再三ストライクと宣告されました。

18年の人生をかけた大一番を戦う球児にとってあまりにも大きすぎる壁が立ちはだかっていました。

負けている試合展開、キャッチャーの1人がベンチで取り乱していました。

3アウトでベンチに帰ってくるとベンチを思い切り殴り、涙を流しながら言いました。

これはひどいです。。これは試合じゃないです。」

親父も当然そのことは分かり切っています。

しかし親父は最後まで”先生”を貫きました。

「だめだ!!最後まで高校野球をやれ!!」と一喝。

結局その試合には負けてしまいましたが、高校野球最後の試合にして最高の人生勉強をさせていただいたのではないでしょうか。

「これらをじっとこらえていく」ことが人生の成功へつながる、大事な1試合に負けても伝えたかった親父のメッセージだったと感じています。

後日その試合の事を先生に聞くと、「涙が出るほどつらかった」と仰っていました。

負けることが大嫌いな人ですから、当然親父も辛かったのだと。

ただどうにもならない目先の不利に弱さを見せるのではなく、じっと前を向いてやれることをやるしかない。野球だけで終わらない人生の教育なのです。

「お前と心中する」

これまた、すごいワードです。

甲子園でこの言葉が飛んでくる先生にはなかなか出会えないのではないでしょうか。

これは、僕が高校三年生の夏の甲子園での出来事です。

1回戦、8点差逆転の劇的勝利の裏では、イップスと闘う一人の高校球児がいました。

紛れもなく僕のことです。

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肘に爆弾を抱えていた僕の肘は甲子園に来た時にはすでに限界に近づいていました。

1回戦では、逆転した直後の9回にセカンドからファーストへ大暴投。

勝利は収めたものの後味の悪い試合となりました。

それを見かねたコーチは、「先生、まさは外野にもっていきましょう。」と進言されたそうです。

甲子園まで来て悩んでいる選手を思って言ってくださったのだと思っています。

しかし、親父は「セカンドは変えない」と言い張りました。

 

迎えた2回戦、初回からしっかりと甲子園2暴投目を記録します。

イニングの途中ベンチから伝令がきました。

「練習通りの結果だ。なにも気にしていない」と。

甲子園まで来て何やってんだろう。。と思いながらベンチへ帰ると親父から強烈な一言が。

「俺はお前と心中すると決めてんだ!しっかりしろ!!」

その時は無我夢中で感情など特になく、「しっかりしないと」くらいの感覚でしたが、その試合に負け引退した後、コーチにすべてを聞かされた時には涙が溢れ出たことを鮮明に覚えています。

暴投しなければ勝っていたかもしれないと自分を責めるような気持ちになっていましたが、目先の一勝と引き換えに大切なメッセージを受け取った気になりました。

親父の器はとてつもなく大きいものなんだと知らされた瞬間であり、阪口慶三の心をもらうことができたのだと悟った瞬間でもありました。

3年間「男の修行」をしてきたご褒美をいただいたということ、最後まで心から人を信じるということ、言葉にならないくらいの愛情を受け取り高校野球を終えたのです。

 

そんな親父とも不思議なご縁でつながっており、いまでは再び親父の下で子供たちに同じ愛情を注ぎながら「男の修行」を極める毎日を送っています。

 

東邦高校での38年間、大垣へ来てから15年間、親父の「修行」を受けてきた人は皆、「鬼の子」という一つの”魂”でつながっています。